婦人科
生理のなやみ
生理痛や不順、量の多さなど、
生理の悩みは我慢せずに相談を。
思春期になると女性ホルモンが出始めて生理がはじまります。妊娠するために子宮の中で作られたふかふかのベッドの内膜が妊娠しなかったときに剥がれ落ちて出血として出てくることを生理といいます。
初経から閉経を迎えるまで生理は約40年間続きます。初産の年齢が遅くなり妊娠回数が減った現代女性は昔の人と比べて生理の回数が3倍以上。
生理のつらい症状をがまんする必要はありません。気になる症状があれば相談しにきてくださいね。
昔と今の生理回数の違い
正常な生理
こんな症状はありませんか?
- 月経困難症
- 生理になるとお腹や腰が痛くて日常生活にも支障がある。
- 過多月経・過長月経
- 比べられないけど生理の量が他の人より多いor長いかも。
- 月経不順
- 生理が月2回くる、妊娠してないけど2か月たってもこない。
- 月経前症候群
- 生理前になると気分が落ちたりイライラしたり、不調がでる。
治療方法
- 低用量ピル・ジェノゲスト・ミレーナなどのホルモン療法
- 漢 方
- 鎮 痛 剤
生理の症状への治療法として、低用量ピルやジェノゲスト、ミレーナなどのホルモン療法や漢方、
鎮痛剤など改善する方法はいろいろあるので無理をして我慢せずに相談に来てください。
異常がないことも多いですが、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れていることもあるので
チェックしたほうがいい場合もあります。
思春期の子や希望がない方に無理に内診をすることもないので安心してください。
大切な予定と生理が重なる前に対策を!月経移動も可能です
楽しみにしている旅行、受験、大事な大会などに
月経がかぶってしまうかもしれないと心配しなくても大丈夫。
月経をずらす方法があります。生理を早める方法、生理を遅らせる方法があります。
ぎりぎりになってしまうとずらすことができないこともあるので、
ずらしたい生理の1つ前の生理が始まる前くらいのタイミングで受診しましょう。
※あまり早すぎても内服の時期が決められないことがあるので注意してください
子宮頚がん・異形成
子宮頚がん・子宮体がんの症状に気づいたら
早めの相談で早期発見を。
子宮頚がん・子宮頚部異形成
子宮頚がんとは子宮頚部にできる癌で、
日本では毎年約1.1万人の方がかかり、約2900人の方が亡くなっています。
20代から増えて40代でピークをむかえ、若くして亡くなることも多いので
マザーキラーとも呼ばれています。
ほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続的な感染によって起こります。
HPVは性的接触がある方の約80%は感染するといわれていますが、ほとんどは自然免疫で消滅します。
しかし、ー部の人は持続感染し異形成を経て悪くなると癌になってしまいます。
HPV感染から
子宮頚がんへの進行
子宮頚がんは
予防接種と検診をすれば
防ぐことができる癌です。
当院では
子宮頚がんワクチンや
子宮頚がん検診を
行うことができます。
子宮体がん
子宮体がんとは、子宮の中の内膜組織から発生する癌です。
不正出血などの症状が出てくることがあります。
40歳代後半から増加し50歳代60歳代の罹患率が高くなります。
エストロゲンの子宮内膜への刺激が長く続くことが原因になることが多いです。
子宮体がんの
リスクに配慮が必要な方
- 出産経験がない
- 閉経が遅い
- 肥満・糖尿病・高血圧
- 乳がん、大腸がんの既往や家族歴のある方
- 乳がん治療薬を使用している方
不正出血がある場合にはまずは超音波を行い子宮内膜の厚み調べます。
内膜が厚い場合には子宮内膜の細胞診や組織診を行います。
子宮体がん検査は痛みや感染のリスクを伴うことが多いため
症状がない場合や超音波所見で疑われない場合には無理に検査を行うことはしません。
検査をご希望の場合にはまず相談してください。
不正出血
不正出血は体からのサイン
早期の検査で安心を
月経ではないときや閉経後に腟から出てくる出血を不正出血といいます。
異常がないことも多いですが、病気が見つかることもあるので検査をすることをお勧めします。
主な原因
- 排卵期出血
- ホルモンバランスの乱れ
- 性病
- 子宮頚管ポリープ・子宮内膜ポリープ
- 子宮頚がん・子宮体がん
下腹部痛
下腹部の痛み、
生理痛以外の原因も
生理痛以外にも下腹部が痛くなることがあります。
骨盤には腸や膀胱などの臓器もあるため婦人科からではない症状のこともあります。
痛みが続く場合には無理せずに受診するようにしましょう。
おりものの異常やかゆみ
おりものの変化と自浄作用
気になる症状が続くならご相談を
思春期になって女性ホルモンが出始めると腟から分泌物がおりものとして出てきます。
ホルモンは日々変化するのでおりものの性状や量も日々変わってきます。
正常なおりものには乳酸菌が含まれていて、
菌などが入ってきても自分できれいにする自浄作用があります。
ただ体調不良や疲れなどで免疫力が低下したときなどは乳酸菌が減ってしまい、
悪い菌が増えてしまうことがあります。
かゆみやにおいがなかなか治らない時は腟洗浄などで治療をすると
改善することが多いのでいつでも相談にきてください。
性病や子宮頚がんでおりものが増えることもあるので続く場合には検査をお勧めします。
こんなおりものでは
ありませんか?
-
正常な
おりもの -
- 少し酸っぱいにおい
- 排卵期は透明の卵白の粘調性の高い帯下
- 排卵後は白くドロッとした帯下
- カンジダ腟炎酒粕のよう
-
- 酒粕様
- カッテージチーズ様
- かゆみあり
-
細菌性腟炎色がつき
量が多い -
- 色のついた量が多く出てくる
- 臭いが出ることが多い
-
トリコモナス腟炎
魚の
生臭いにおい
-
- 泡沫状で水っぽい帯下
- 魚の生臭いにおい
-
萎縮性腟炎
色がつき
茶色くなる -
- 閉経後の帯下
- 色がつき茶色くなることもある
できもの
外陰部のできもの、気になる症状があれば
早めに相談して安心を
外陰部にはさまざまなできものができることがあります。
痛みやかゆみがある、どんどん大きくなっている、不快感があるなどの症状があれば相談してください。
できものの種類
-
バルトリン
腺嚢胞 -
腟の入り口の分泌腺の出口が詰まってしまうことで片側もしくは両側の腟入口部が腫れてしまう嚢胞です。無症状のこともありますが、細菌感染などで腫大してしまうと痛くなり歩行や坐位をとることが困難になることもあります。
穿刺排膿や抗生剤投与、繰り返す方には開窓術で治療を行います。 - 性器ヘルペス
- 小水疱や小潰瘍ができて疼痛を伴います。内服と軟膏塗布で治療を行います。再発を頻回に繰り返す方には再発抑制療法をお勧めします。
- 尖圭
コンジローマ - HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染で起こります。鶏冠様の突起ができますが、痛みやかゆみは伴いません。放置をするとだんだん大きく増えていきます。軟膏で治療しても改善しない場合には当院では局所麻酔下で焼灼治療を行います。
- 腟前庭乳頭腫
- 尖圭コンジローマと似ていますが、小陰唇の内側にできる小さな突起物です。生理的な現象であり感染の心配もないので治療の必要はありません。
- 毛包炎
- 毛穴に細菌感染して炎症が起きる状態です。膿が付着しており痛みを伴うことが多いです。軟膏や抗生剤で改善することが多いですが、状態によっては切開排膿を行います。
その他にも粉瘤・脂肪腫などさまざまなできものがあるので
気になる場合には診察・治療を受けにいらしてください。
子宮・卵巣の病気
子宮や卵巣は女性の健康に重要で
早期発見と治療が大切です
子宮筋腫
子宮筋腫は30歳以上の女性の
20〜30%に見られる良性の腫瘍です。
女性ホルモン(エストロゲン)によって大きくなるため閉経までは大きくなる可能性があります。症状が特にない場合には治療の必要はありませんが、下記の症状がある時には治療をしたほうがいい場合もあります。
こんな症状は
ありませんか?
- 急激に大きくなる筋腫
- コントロールできない月経量や貧血
- 着床障害になり妊娠しづらい
- 圧迫による頻尿などの症状がつらい
治療方法
- 手術療法
- 薬物療法
- ...など
ー人ひとり症状や状態に合わせて選択していきます。
月経があるうちは大きくなる可能性があるため超音波検査で定期的なチェックをお勧めします。
子宮内膜症・腺筋症
子宮内膜症とは
子宮内膜組織が子宮の外(卵巣や腹膜など)で増殖する病気です。
子宮腺筋症とは
子宮の筋肉の中に子宮内膜様の組織ができることで子宮の壁が厚くなる病気です。経産婦や子宮内手術の既往のある方に多くみられるという報告があります。
腹腔内に癒着を起こし不妊症の原因になることもあります。
こんな症状は
ありませんか?
- 月経痛
- 慢性的な骨盤の痛み
- 月経の量が多い
- 性交時の痛み
- 月経中の排便時の痛み
治療方法
- ホルモン剤(低用量ピルやジェノゲストなど)
月経があるうちは増悪してしまうので、
低用量ピルやジェノゲストなどのホルモン剤で症状をコントロールしながら治療を行っていきます。
卵巣のう腫
卵巣のう腫は卵巣に液体や組織がたまり、
腫れる状態です。
子宮についている卵管の先に親指大くらいの卵巣が左右についています。
生理がくるようになると毎月どちらかの卵巣から排卵をします。卵巣は気づかないうちに腫れていることがあります。水がたまる漿液性嚢胞、脂肪や毛を含む皮様嚢腫、子宮内膜症でどろっとした古い血液がたまるチョコレート嚢胞などさまざまな嚢胞ができることがあります。
卵巣は腫れても症状が出にくく、健診でたまたま気づかれることもあります。
大きくなると下腹部の張りや痛み、腰痛などを自覚します。
治療方法
- 経過観察
- MRIや手術ができる病院に紹介
当院では良性腫瘍の場合大きさを経過観察していきます。良性のことが多いですが、境界悪性や悪性の腫瘍によって腫大していることもありますので疑われるときはMRIなどで精査をしたり、手術ができる病院に紹介することもあります。
更年期症候群
更年期の症状とその原因、心に寄り添った対処法を
更年期とは閉経前後の5年間を指します。
閉経は人によってもさまざまですが、40歳後半から50歳前半にかけておこることが多いです。更年期には様々な症状がでます。
エストロゲンの低下だけではなく、本人の体質や気質、環境的な要因もあわさって症状がでてくることが多いです。
更年期症状は人によって違い、全くない人もいれば寝込んでしまうくらいつらい方もいます。つらい場合にはがまんせずに相談してください。
主な症状
- ホットフラッシュ、異常発汗
- ほてり・のぼせ
- めまい
- 頭痛
- 動悸
- 疲れやすい・倦怠感
- 不眠・不安
- イライラ
- うつ
- 関節痛
...など
治療方法
- ホルモン補充療法
- 漢 方
- プラセンタ注射
- 抗うつ薬・抗不安薬
...など
更年期症候群だと思っていたら違う病気が隠れている可能性もありますので、
他科でほかの病気の否定をしていくことを勧める場合もあります。
骨盤臓器脱
子宮や膀胱、腸の不調に気づいたらご相談を
女性の骨盤内臓器(膀胱・子宮・腸)は骨盤底筋群という筋肉や靭帯によって支えられています。
骨盤底筋群は分娩の時のダメージや加齢による筋力に低下により弱まってしまいます。
筋力が弱まることで膀胱や子宮・直腸が落ちてきてしまうことを骨盤臓器脱といいます。
主な原因
- 腟からの出産(経腟分娩)
- お腹に力がかかる習慣(重い物を持つ、長時間の立ち仕事、便秘、慢性的な咳など)
- 子宮がんや子宮筋腫の手術の影響
- 加齢による筋力低下
- 肥満による負担
...など
主な症状
- 腟に何かが挟まっているような違和感や下垂感
- 尿漏れ・尿閉
- 残便感
- 下腹痛
- こすれることによる出血
...など
治療方法
日常生活の改善
腹圧をかけないように生活すること、ダイエットなど
骨盤底筋群体操
骨盤底筋群を鍛えることで徐々に症状を改善していきます。
当院ではガスケアプローチに基づく体操で治療していきます。
定期的にガスケアプローチ講座も行う予定ですのでぜひ参加してみてください。
ペッサリー
ペッサリーとは腟内に入れるリングのことで挿入することで
臓器が下がってこないようにする方法です。
同じ部位に入れておくと感染や潰瘍の原因となるため定期的な洗浄や交換が必要です。
手術療法
症状の改善を認めない時、ご本人が希望されたときは手術をするという選択肢もあります。
手術を希望される場合にはご紹介いたします。
更年期症候群だと思っていたら違う病気が隠れている可能性もありますので、
他科でほかの病気の否定をしていくことを勧める場合もあります。
泌尿器症状
膀胱炎や尿もれに悩む方へ、原因と治療法
膀胱炎
膀胱炎は尿道から細菌が逆行して膀胱に細菌が入り込み起こります。
尿を我慢してしまったあと、あまり水の飲んでいなかった、性行為後などに起こることが多いです。
排尿時痛・残尿感・頻尿・血尿などの症状がでます。抗生剤や漢方などの薬を内服したり水をよく飲むことで治療をしていきます。
主な要因
- 尿の我慢
- 水分不足
- 性行為後
...など
主な症状
- 排尿時の痛み
- 残尿感
- 頻尿
- 血尿
...など
治療方法
- 抗生剤
- 漢 方
- 水分補給
尿失禁
尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことです。
40歳以上の女性の4割以上が経験しているといわれていますが、恥ずかしいため相談できなくて我慢している方がほとんどです。
治療によって改善するのでがまんせずに相談してください。
腹圧性尿失禁
重いものを持ったり、ジャンプやくしゃみをしたときなどのお腹に力が入ったときに漏れてしまう尿失禁です。女性の尿失禁の中では最も多く、骨盤底筋群が緩むために起こります。
治療方法
生活指導
ダイエット、便秘解消・重いものを持つことを控えるなど
骨盤底筋群体操
当院ではガスケアプローチによる訓練を指導します。
産後から行うことで将来の尿失禁の予防にもなります。
手術療法
保存療法で改善しない場合には手術療法の適応になるのでその際は紹介いたします。
切迫性尿失禁(過活動性膀胱)
急に尿がしたくなって我慢できずに漏れてしまう尿失禁です。
トイレが近くなり、かけこまないといけないようなことが起こるので外出中に困ることがあります。
特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい尿意切迫感を起こします。膀胱瘤などの骨盤臓器脱も原因になることがあります。
治療方法
生活指導
禁煙、飲水コントロール、カフェインやアルコール摂取を控えるなど
膀胱訓練
少しずつトイレを我慢することで膀胱容量を増やしていく訓練です。
骨盤底筋群体操
当院ではガスケアプローチによる訓練を指導します。
産後から行うことで将来の尿失禁の予防にもなります。
薬物療法
・抗コリン薬:異常な膀胱収縮の抑制
・β3アドレナリン受容体作動薬:膀胱弛緩による蓄尿機能を亢進